ブランドリユースF社では、約60店舗でブランド品の買取と販売を行っていました。買取価格や販売価格の参考になる相場は担当者が毎日手で調べ、各店の買取・販売データは店舗ごとにExcelで管理していました。
課題:相場は手調べ、データは店舗ごとのExcelで分断していた
一点物のブランド品はひとつずつ相場が動くのに、その判断も集計も人手に頼っていました。
- 約60店舗の買取・販売データは、店舗ごとにExcelで管理され本部に集まるのは翌日以降だった
- 適正な買取価格や販売価格の相場は、担当者がモールや過去実績を毎日手で調べていた
- 楽天やメルカリなど販売チャネルが別管理で、どこで売るのが得かを横断で見られなかった
- 値付けが経験頼みのため、売れ残り(滞留在庫)と安売りがどちらも起きていた
店舗とチャネルが増えるほど、相場調べと集計の手間が膨らんでいました。
BEFORE|自動化前のExcel・手調べ運用
店舗A POS 買取・販売をExcel
店舗B POS 買取・販売をExcel
店舗C … 約60店 買取・販売をExcel
査定・相場 担当者が手で調査
在庫台帳 一点物をExcel
楽天・メルカリ 各モールで別管理
本部担当者 Excel集計+相場も手調べ
全社レポート 反映は翌日・値付けは勘
相場調べが属人的 値付けが経験頼み 集計に月40時間 滞留在庫が見えない 店舗とECが分断
アプローチ:相場と在庫を1つの基盤に集め、価格を予測する
各店のExcel運用と手作業の相場調べをやめ、買取から販売までのデータを1か所に集めて、価格の判断を支える仕組みに組み替えました。
- データ取得:各店の買取・販売データや査定・在庫は日次でExcelにまとめてCloud Storageへ自動アップロードし、着信をCloud FunctionsがBigQueryへロード。自社EC(Shopify)はFivetranで、楽天やメルカリは各モールのAPIをCloud Functionsで取得します(いずれもCloud Schedulerで定期実行)。
- ストレージ・DWH:取り込んだデータは全社横断でBigQueryに集約。BigQueryの課金の考え方はBigQueryのコスト最適化で解説しています。
- 変換:dbtでブランドや型番、状態をまたいで比較できるデータモデルに整え、Elementaryで欠損や異常を継続的にチェックしています。
- 予測:整えたデータと相場をBigQuery MLにかけ、ブランド・型番ごとの適正な買取価格と販売価格、値下げのタイミングを出せるようにしました。
- 基盤・運用:全体の処理はCloud Composer(Airflow)で動かし、構成はTerraform、dbtはGitHub Actionsで管理。データの所在はDataplexで追えるようにしています。
- 可視化と現場還元:Looker Studioで本部と店舗が同じ数字を見られるダッシュボードを用意し、予測した価格は各店舗のPOSとECに推奨値として戻します。相場の急変や滞留在庫はSlackに通知しています。
全体の流れは次のようなパイプラインになっています。
Google Cloud
自社EC Shopify
店舗A POS 買取・販売Excel
店舗B POS 買取・販売Excel
店舗C … 約60店 買取・販売Excel
査定システム 真贋・相場
在庫 個品管理
楽天・Yahoo モールAPI
メルカリ フリマAPI
Fivetran 自社EC(Shopify)
Cloud Storage 買取・販売の着信
Cloud Functions Excelロード+モールAPI
Cloud Scheduler 定期実行
BigQuery 全社DWH
dbt 統合・品質テスト
Dataform GCPネイティブ変換
BigQuery ML 適正価格・相場の予測
Looker Studio 本部・店舗ダッシュボード
価格推奨 査定・販売価格を現場へ
Cloud Composer(Airflow) オーケストレーション
Dataplex カタログ・ガバナンス
データの流れ オーケストレーション制御 ガバナンス 価格推奨の現場還元
全レイヤー横断・運用 GitHub ActionsCI/CD TerraformIaC Elementaryデータ品質監視 Slack相場急変・滞留在庫アラート
このパイプラインの考え方はデータパイプラインとはで、基盤づくりの全体像はデータ基盤とはで整理しています。
成果:月40時間の値付け作業が消え、在庫回転率も約15%改善
担当者が毎日手で行っていた相場調べと集計はほぼなくなり、値付けにかけていた月40時間ほどの作業がほぼゼロになりました。買取価格も販売価格も、相場に連動した推奨値をその場で確認できます。
適正な価格と値下げのタイミングを出せるようになったことで、滞留在庫が減り、在庫回転率は約15%改善しました。店舗とECの在庫を横断で見て、売れやすいチャネルへ回せるようにもなっています。