Amazon Redshiftとは?料金体系と費用相場を解説

データ基盤
読了時間 約10分
Amazon Redshiftとは何かをおさえたうえで、料金体系と費用相場を非エンジニアにもわかる形で解説します。プロビジョンド(RA3・DC2)とServerlessという2つの課金モデル、マネージドストレージやSpectrumの費用、規模別の月額相場、Snowflake・BigQueryとの使い分け、そして費用で失敗しないための注意点まで、AWSでDWHを検討する担当者向けに整理しました。

「AWSを使っているならDWHはRedshiftで」と方針だけ決まって、いざ見積もりに入るとRA3・DC2・Serverlessと選択肢が並び、そこで手が止まる。AWS環境を引き継いだお客様から、こうしたご相談を何度も受けてきました。

見覚えがある方は少なくないと思います。Redshiftの費用は、課金モデルとノードの選び方で同じ用途でも月数万円から数百万円まで動きます。この幅を作っているのが、プロビジョンドとServerlessという2つの課金の考え方です。

正直に言うと、この2つを取り違えると、あとから請求書を見て青ざめることになりがちです。逆に、稼働の仕方に合ったモデルを最初に決められれば、Redshiftは相当コスト効率の良いDWHになります。

Redshiftとは何かを押さえ、料金の仕組みと規模別の相場、Snowflake・BigQueryとの使い分けまで、具体的な金額と一緒にまとめます。DWHそのものの役割はDWH(データウェアハウス)とは?クラウドDWHの比較と選び方で解説しています。


Amazon Redshiftとは:AWSのフルマネージド型データウェアハウス

Amazon Redshiftとは:AWSのフルマネージド型データウェアハウス

Amazon Redshiftは、AWSが提供するフルマネージド型のデータウェアハウス(DWH)です。2013年に一般提供が始まった、クラウドDWHの草分け的なサービスです。

DWHは分析専用に設計されたデータの集約場所で、その速さの中心にあるのが列指向ストレージです。Redshiftも列指向で、数百万〜数十億件のデータを横断する集計クエリを高速に処理します。この仕組みはDWH(データウェアハウス)とは?クラウドDWHの比較と選び方で詳しく解説しています。

Redshift最大の特徴は、AWSの各サービスとの連携の近さです。S3にあるデータの取り込み、Glueでの前処理、QuickSightでの可視化、Lambdaでの処理まで、AWSの中で完結できます。すでに基幹システムやログをAWSに置いている企業なら、データを別の基盤へ運び出す手間も、大量データの転送料もかかりません。

提供形態は2つあります。

  • プロビジョンド:あらかじめノード(サーバー)を確保して起動しておく従来型。RA3とDC2という2種類のノードがあります。
  • Serverless:ノードの管理を意識せず、クエリを実行した分だけ課金される新しい型。

このどちらを選ぶかで、費用は数倍動きます。


Redshiftの料金体系:2つの課金モデルと従量オプション

Redshiftの料金体系:2つの課金モデルと従量オプション

Redshiftの料金は、大きく次のように分かれます。

プロビジョンド(RA3 / DC2)
コンピュートノードの起動時間 × 単価
ストレージ保存量 GB × 月(RA3)

常時・長時間の分析に向く

Serverless
コンピュート使った処理量 RPU × 秒
ストレージ保存量 GB × 月

断続的・不定期な利用に向く

起動時間で払うか、使った分だけ払うか。使い方に合うほうを選ぶ
Redshiftの2つの課金モデル。稼働時間で払うか、使った分だけ払うか

図のように、プロビジョンドはノードの起動時間で、Serverlessは使った処理量で課金されます。この2つで、料金の増え方がまったく違います。

プロビジョンド(RA3 / DC2):ノードの起動時間で課金

プロビジョンドは、選んだノードを起動している時間だけ料金がかかります。24時間起動していれば24時間分、止めていれば止めている間はコンピュート(計算処理)の料金がかかりません。

ノードには2系統あります。

  • DC2:ローカルSSDを積んだ一体型。コンピュートとストレージがセットで、おおむね1TB以下の小さめのデータに向きます。
  • RA3:コンピュートとストレージが分離した新しい型。データはマネージドストレージ(S3ベース)に置き、保存量に応じて別建てで課金されます。1TBを超えるデータでは、コンピュートとストレージを別々に増やせるRA3のほうが割安になりやすいです。

代表的なオンデマンド単価は次のとおりです(2026年時点・米国東部リージョンの目安。東京リージョンはやや高めで、実額はAWSの料金ページで確認してください)。

ノード特徴オンデマンド単価の目安
dc2.largeローカルSSD一体型・〜1TB向け約0.25ドル/ノード時
ra3.xlplusストレージ分離・1TB超向け約1.09ドル/ノード時
ra3.4xlarge中〜大規模向け約3.26ドル/ノード時
マネージドストレージRA3の保存データ約0.024ドル/GB・月

長期間使うことが決まっているなら、リザーブドインスタンスで1年または3年の利用を約束すると、オンデマンド比で最大およそ75%引きになります。常時稼働の基盤ほど効果が大きい割引です。

Serverless:使った処理量(RPU × 秒)で課金

Serverlessは、処理能力をRPU(Redshift Processing Unit)という単位で測り、クエリを実行した秒数だけ課金します(60秒を最小として秒単位)。単価はRPUあたり1時間で約0.375ドルです(リージョンにより変動)。使っていない間は課金されないため、利用が読めない段階に向きます。ストレージはプロビジョンドと同じマネージドストレージ(約0.024ドル/GB・月)です。

そのほかの従量オプション

  • Redshift Spectrum:S3にあるデータをRedshiftに取り込まず、そのまま直接クエリする機能。スキャンした量に応じて、1TBあたり約5ドルかかります。
  • 同時実行スケーリング(Concurrency Scaling):アクセスが集中したときに一時的に処理能力を追加する機能。1日あたり1時間分は無料で、超過分だけ秒単位で課金されます。
  • データ転送・バックアップ:一定量までは無料枠があり、それを超えた分が課金対象になります。

無料で試す手段もあります。プロビジョンドは2か月間の無料トライアル、Serverlessは新規向けに90日間・300ドル分のクレジットが用意されています。


Redshiftの費用相場:規模別の月額の目安

Redshiftの費用相場:規模別の月額の目安

課金の仕組みがわかっても、結局うちだといくらになるのかが気になります。データ量と使い方から、規模別の月額の目安を示します(利用料のみ。1ドル≒150円で概算。設計や移行の初期費用は別途です)。

規模データ量・使い方の例構成例月額の目安
スモール〜数百GB/数十店舗の売上を月次でBI集計する程度Serverless(断続)または dc2.large×2約3万〜10万円
中規模数TB/数十人が日中ダッシュボードを見る全社BIRA3 ra3.xlplus×2〜4 + 数TB保存約25万〜50万円
大規模数十TB/全社BIに加え、夜間バッチを高頻度で回すRA3 ra3.4xlarge×4〜約100万円〜

たとえば中規模で、ra3.xlplusを2ノード常時起動すると、コンピュートだけで月およそ23万円になります(2ノード × 約1.09ドル × 730時間 × 150円)。ここに数TBのストレージ分が上乗せされます。ただしリザーブドで1年契約にすれば、この単価は大きく下がります。

金額の幅が広いのは、止めているか、動かし続けているかで費用が数倍変わるためです。プロビジョンドは起動時間で課金されるので、夜間や休日に止められる使い方なら大きく抑えられます。逆に止め忘れると、使っていない時間もそのまま料金になります。

なお、これはRedshift単体の相場です。実際にはデータを運ぶETL、変換のdbt、可視化のBIツールなどを含めた基盤全体で費用を考える必要があります。基盤の初期費用の内訳はデータ基盤構築の費用相場は?見積もりの内訳と判断基準を解説で整理しています。


プロビジョンドとServerless、どちらを選ぶか

プロビジョンドとServerless、どちらを選ぶか

2つの課金モデルは、稼働のしかたで向き不向きが分かれます。

Serverlessが向くケース

  • データ量や実行頻度がまだ読めない試験導入
  • 月末に経営会議用のレポートを一括生成するなど、重い処理が特定のタイミングに偏る
  • 普段はアクセスが少なく、夜間や休日はほとんど誰も触らない

使っていない時間に課金されないため、無駄が出にくいのが利点です。

プロビジョンド(RA3)が向くケース

  • 日中フルにダッシュボードやバッチが動く定常的で高頻度の利用
  • データ量が数TB以上で、コンピュートとストレージを分けて増やしたい
  • 1年以上の利用が決まっており、リザーブドで単価を下げたい

常時稼働するほど、リザーブドの割引が効いてServerlessより安くなることがあります。

判断に迷うときは、Serverlessで始めて、負荷が定常化したらプロビジョンドへ移す進め方が安全です。最初から大きなノードを常時起動すると、使い切れないまま費用だけがかさむ失敗が起きやすいためです。


Snowflake・BigQueryとの違い:DWH三強の使い分け

Snowflake・BigQueryとの違い:DWH三強の使い分け

クラウドDWHは、Redshift・Snowflake・BigQueryの3つが主要な選択肢です。課金の基準がそれぞれ違います。

DWH課金の基準得意なところ
Amazon Redshiftノード/RPUの稼働時間AWSとの連携。S3・Glue・QuickSightとそのままつながる
Snowflakeウェアハウスの稼働時間マルチクラウド対応。チームごとに処理を分けやすい
BigQueryクエリのスキャン量完全サーバーレス。たまに重い分析を回す使い方に強い

Redshiftが噛み合いやすいのは、すでにAWSを中心に使っていて、データもAWS上にある企業です。連携の手間が減るぶん、基盤全体の総コストが下がることがあります。

一方で「どれがいちばん安いか」に一律の答えはありません。同じ用途でも、使い方しだいで費用は大きく変わり、順位も入れ替わります。3社を費用の観点で比べたクラウドDWH費用比較|BigQuery・Snowflake・Redshift、SnowflakeとBigQueryを正面から比べたSnowflakeとBigQuery比較:コスト・性能・機能の違いと選び方もあわせて参考にしてください。


Redshiftの費用で失敗しないための注意点

Redshiftの費用で失敗しないための注意点

Redshiftの請求が想定より膨らむとき、原因はだいたい決まっています。

  • プロビジョンドの止め忘れ:起動している時間だけ課金されるため、検証用に立てたra3.xlplusを1ノード止め忘れると、1件もクエリを流さなくても月およそ12万円(約1.09ドル × 730時間 × 150円)がそのまま請求されます。開発・検証用は、使い終わりに停止する運用にするか、スケジュール停止や自動停止を設定しておきます。
  • Serverlessのベース容量が過大:ベース容量(RPU)を大きく設定しすぎると、軽い処理でもRPU数に比例して課金され、無駄が出ます。実際の負荷を見ながら、まず小さめのベース容量から始め、遅ければ上げます。
  • Spectrumのスキャン量:S3を直接クエリするSpectrumは、読んだ量に比例して課金されます。SELECT *や範囲を絞らないクエリはスキャン量が膨らむため、必要な列と期間だけを読む書き方にします。
  • リザーブド化の判断:常時稼働が決まっているのにオンデマンドのまま使い続けると割高です。利用が定常化したら、リザーブドや定額系への切り替えを検討します。

Evastの現場では:請求が膨らんだRedshift環境をまず調べると、原因はクエリの中身よりも「止め忘れたクラスタ」と「用途に対して大きすぎるノード」であることがほとんどです。夜間や休日に止められるはずのクラスタが動きっぱなしで、月額の3割前後が使われていない時間の課金だった、という例も珍しくありません。派手なチューニングの前に、まず止め方とノードサイズを見直すのが近道です。

この考え方はSnowflakeやBigQueryでも共通です。DWHのランニングコストを抑える全体像はデータ基盤のコストダウン|ランニングコスト削減の4要素で、他社の料金体系はSnowflakeの料金体系とコスト削減|クレジット課金の落とし穴BigQueryの料金体系とコスト削減|課金トラップと対策で解説しています。


まとめ:課金モデルとノードを稼働前に決める

Amazon Redshiftの費用は、どの課金モデルを選び、いつ止めるかで数倍単位で動きます。

  1. Redshiftとは:AWSのフルマネージドDWH。列指向で高速、AWS各サービスと最も密に連携できる
  2. 料金体系:プロビジョンド(起動時間で課金)とServerless(使った分だけ課金)の2つ。ほかにSpectrumなどの従量オプション
  3. 相場:スモールで月数万円、中規模で月25万〜50万円、大規模で月100万円超が目安(利用料のみ)
  4. 選び方:読めない段階はServerless、定常運用はプロビジョンド+リザーブド

AWSにデータが集まっている企業ほど、Redshiftは移行の手間が少なく有力です。ただし「とりあえず大きく起動して、あとで考える」は費用膨張の入口になります。使い方に合うモデルとノードを稼働前に決めておくことが、総コストを左右します。


データ基盤構築のご相談はEvastへ

株式会社Evastでは、DWH選定・設計から、ETL/ELT実装・BIダッシュボード開発まで、データ基盤の一気通貫支援を行っています。

  • 「Redshift・Snowflake・BigQueryのどれを選ぶべきか迷っている」
  • 「Redshiftを入れたが、費用が想定より膨らんでいて見直したい」
  • 「AWS上のデータを分析に使える状態にしたいが、進め方がわからない」

DWH選定の段階からでも構いません。現状のデータ環境の診断から、構成の設計・実装まで伴走します。

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よくある質問

Amazon Redshiftとは何ですか?
Amazon RedshiftはAWSが提供するフルマネージド型のデータウェアハウス(DWH)です。列指向ストレージで大量データの集計・分析を高速に処理し、S3・Glue・QuickSightといったAWSの各サービスと密に連携できます。プロビジョンド型(RA3・DC2ノード)と、使った分だけ課金されるServerless型の2つの提供形態があります。
Redshiftの料金体系はどうなっていますか?
大きく2つの課金モデルがあります。プロビジョンドはRA3またはDC2ノードの起動時間で課金し、RA3の場合はストレージ(マネージドストレージ)を保存量に応じて別建てで支払います。Serverlessは処理能力をRPU(Redshift Processing Unit)で測り、クエリを実行した秒数だけ課金され、使っていない間は料金がかかりません。このほかS3を直接クエリするSpectrum(1TBスキャンあたり約5ドル)などの従量課金があります。
Redshiftは最低いくらから使えますか?
使い方によります。プロビジョンドのdc2.largeは1ノードあたり約0.25ドル/時(2026年時点・米国東部の目安)で、小さな構成なら月数万円から始められます。Serverlessは新規向けに90日間・300ドル分の無料クレジットがあり、断続的な利用ならさらに抑えられます。プロビジョンドにも2か月間の無料トライアルがあります。実額はリージョンや為替、利用時間で変わるため、AWSの料金ページとPricing Calculatorでの確認をおすすめします。
プロビジョンドとServerlessはどちらを選べばよいですか?
稼働のしかたで選びます。日中フルにダッシュボードやバッチを回すような常時・高頻度の利用は、プロビジョンド(RA3)にリザーブドを組み合わせると単価が下がり有利です。利用時間が読めない試験導入や、たまに重い分析を回す断続的な使い方は、アイドル時に課金されないServerlessが無駄になりません。迷う場合はServerlessで始め、負荷が定常化したらプロビジョンドへ移す進め方が安全です。
RedshiftはSnowflakeやBigQueryとどう違いますか?
課金の基準と得意分野が異なります。BigQueryはクエリのスキャン量、Snowflakeはウェアハウスの稼働時間、RedshiftはノードまたはRPUの稼働時間で課金されます。RedshiftはすでにAWSを中心に使っている企業で、S3やGlue、QuickSightと密に連携できる点が強みです。どれが安いかは使い方で2〜3倍ぶれるため、自社のワークロードで比べる必要があります。
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