Amazon Redshiftとは:AWSのフルマネージド型データウェアハウス

Amazon Redshiftは、AWSが提供するフルマネージド型のデータウェアハウス(DWH)です。2013年に一般提供が始まった、クラウドDWHの草分け的なサービスです。
DWHは分析専用に設計されたデータの集約場所で、その速さの中心にあるのが列指向ストレージです。Redshiftも列指向で、数百万〜数十億件のデータを横断する集計クエリを高速に処理します。この仕組みはDWH(データウェアハウス)とは?クラウドDWHの比較と選び方で詳しく解説しています。
Redshift最大の特徴は、AWSの各サービスとの連携の近さです。S3にあるデータの取り込み、Glueでの前処理、QuickSightでの可視化、Lambdaでの処理まで、AWSの中で完結できます。すでに基幹システムやログをAWSに置いている企業なら、データを別の基盤へ運び出す手間も、大量データの転送料もかかりません。
提供形態は2つあります。
- プロビジョンド:あらかじめノード(サーバー)を確保して起動しておく従来型。RA3とDC2という2種類のノードがあります。
- Serverless:ノードの管理を意識せず、クエリを実行した分だけ課金される新しい型。
このどちらを選ぶかで、費用は数倍動きます。
Redshiftの料金体系:2つの課金モデルと従量オプション

Redshiftの料金は、大きく次のように分かれます。
プロビジョンド(RA3 / DC2)
コンピュートノードの起動時間 × 単価
+
ストレージ保存量 GB × 月(RA3)
常時・長時間の分析に向く
Serverless
コンピュート使った処理量 RPU × 秒
+
ストレージ保存量 GB × 月
断続的・不定期な利用に向く
起動時間で払うか、使った分だけ払うか。使い方に合うほうを選ぶ
Redshiftの2つの課金モデル。稼働時間で払うか、使った分だけ払うか図のように、プロビジョンドはノードの起動時間で、Serverlessは使った処理量で課金されます。この2つで、料金の増え方がまったく違います。
プロビジョンド(RA3 / DC2):ノードの起動時間で課金
プロビジョンドは、選んだノードを起動している時間だけ料金がかかります。24時間起動していれば24時間分、止めていれば止めている間はコンピュート(計算処理)の料金がかかりません。
ノードには2系統あります。
- DC2:ローカルSSDを積んだ一体型。コンピュートとストレージがセットで、おおむね1TB以下の小さめのデータに向きます。
- RA3:コンピュートとストレージが分離した新しい型。データはマネージドストレージ(S3ベース)に置き、保存量に応じて別建てで課金されます。1TBを超えるデータでは、コンピュートとストレージを別々に増やせるRA3のほうが割安になりやすいです。
代表的なオンデマンド単価は次のとおりです(2026年時点・米国東部リージョンの目安。東京リージョンはやや高めで、実額はAWSの料金ページで確認してください)。
| ノード | 特徴 | オンデマンド単価の目安 |
|---|
| dc2.large | ローカルSSD一体型・〜1TB向け | 約0.25ドル/ノード時 |
| ra3.xlplus | ストレージ分離・1TB超向け | 約1.09ドル/ノード時 |
| ra3.4xlarge | 中〜大規模向け | 約3.26ドル/ノード時 |
| マネージドストレージ | RA3の保存データ | 約0.024ドル/GB・月 |
長期間使うことが決まっているなら、リザーブドインスタンスで1年または3年の利用を約束すると、オンデマンド比で最大およそ75%引きになります。常時稼働の基盤ほど効果が大きい割引です。
Serverless:使った処理量(RPU × 秒)で課金
Serverlessは、処理能力をRPU(Redshift Processing Unit)という単位で測り、クエリを実行した秒数だけ課金します(60秒を最小として秒単位)。単価はRPUあたり1時間で約0.375ドルです(リージョンにより変動)。使っていない間は課金されないため、利用が読めない段階に向きます。ストレージはプロビジョンドと同じマネージドストレージ(約0.024ドル/GB・月)です。
そのほかの従量オプション
- Redshift Spectrum:S3にあるデータをRedshiftに取り込まず、そのまま直接クエリする機能。スキャンした量に応じて、1TBあたり約5ドルかかります。
- 同時実行スケーリング(Concurrency Scaling):アクセスが集中したときに一時的に処理能力を追加する機能。1日あたり1時間分は無料で、超過分だけ秒単位で課金されます。
- データ転送・バックアップ:一定量までは無料枠があり、それを超えた分が課金対象になります。
無料で試す手段もあります。プロビジョンドは2か月間の無料トライアル、Serverlessは新規向けに90日間・300ドル分のクレジットが用意されています。
Redshiftの費用相場:規模別の月額の目安

課金の仕組みがわかっても、結局うちだといくらになるのかが気になります。データ量と使い方から、規模別の月額の目安を示します(利用料のみ。1ドル≒150円で概算。設計や移行の初期費用は別途です)。
| 規模 | データ量・使い方の例 | 構成例 | 月額の目安 |
|---|
| スモール | 〜数百GB/数十店舗の売上を月次でBI集計する程度 | Serverless(断続)または dc2.large×2 | 約3万〜10万円 |
| 中規模 | 数TB/数十人が日中ダッシュボードを見る全社BI | RA3 ra3.xlplus×2〜4 + 数TB保存 | 約25万〜50万円 |
| 大規模 | 数十TB/全社BIに加え、夜間バッチを高頻度で回す | RA3 ra3.4xlarge×4〜 | 約100万円〜 |
たとえば中規模で、ra3.xlplusを2ノード常時起動すると、コンピュートだけで月およそ23万円になります(2ノード × 約1.09ドル × 730時間 × 150円)。ここに数TBのストレージ分が上乗せされます。ただしリザーブドで1年契約にすれば、この単価は大きく下がります。
金額の幅が広いのは、止めているか、動かし続けているかで費用が数倍変わるためです。プロビジョンドは起動時間で課金されるので、夜間や休日に止められる使い方なら大きく抑えられます。逆に止め忘れると、使っていない時間もそのまま料金になります。
なお、これはRedshift単体の相場です。実際にはデータを運ぶETL、変換のdbt、可視化のBIツールなどを含めた基盤全体で費用を考える必要があります。基盤の初期費用の内訳はデータ基盤構築の費用相場は?見積もりの内訳と判断基準を解説で整理しています。
プロビジョンドとServerless、どちらを選ぶか

2つの課金モデルは、稼働のしかたで向き不向きが分かれます。
Serverlessが向くケース
- データ量や実行頻度がまだ読めない試験導入
- 月末に経営会議用のレポートを一括生成するなど、重い処理が特定のタイミングに偏る
- 普段はアクセスが少なく、夜間や休日はほとんど誰も触らない
使っていない時間に課金されないため、無駄が出にくいのが利点です。
プロビジョンド(RA3)が向くケース
- 日中フルにダッシュボードやバッチが動く定常的で高頻度の利用
- データ量が数TB以上で、コンピュートとストレージを分けて増やしたい
- 1年以上の利用が決まっており、リザーブドで単価を下げたい
常時稼働するほど、リザーブドの割引が効いてServerlessより安くなることがあります。
判断に迷うときは、Serverlessで始めて、負荷が定常化したらプロビジョンドへ移す進め方が安全です。最初から大きなノードを常時起動すると、使い切れないまま費用だけがかさむ失敗が起きやすいためです。
Snowflake・BigQueryとの違い:DWH三強の使い分け

クラウドDWHは、Redshift・Snowflake・BigQueryの3つが主要な選択肢です。課金の基準がそれぞれ違います。
| DWH | 課金の基準 | 得意なところ |
|---|
| Amazon Redshift | ノード/RPUの稼働時間 | AWSとの連携。S3・Glue・QuickSightとそのままつながる |
| Snowflake | ウェアハウスの稼働時間 | マルチクラウド対応。チームごとに処理を分けやすい |
| BigQuery | クエリのスキャン量 | 完全サーバーレス。たまに重い分析を回す使い方に強い |
Redshiftが噛み合いやすいのは、すでにAWSを中心に使っていて、データもAWS上にある企業です。連携の手間が減るぶん、基盤全体の総コストが下がることがあります。
一方で「どれがいちばん安いか」に一律の答えはありません。同じ用途でも、使い方しだいで費用は大きく変わり、順位も入れ替わります。3社を費用の観点で比べたクラウドDWH費用比較|BigQuery・Snowflake・Redshift、SnowflakeとBigQueryを正面から比べたSnowflakeとBigQuery比較:コスト・性能・機能の違いと選び方もあわせて参考にしてください。
Redshiftの費用で失敗しないための注意点

Redshiftの請求が想定より膨らむとき、原因はだいたい決まっています。
- プロビジョンドの止め忘れ:起動している時間だけ課金されるため、検証用に立てたra3.xlplusを1ノード止め忘れると、1件もクエリを流さなくても月およそ12万円(約1.09ドル × 730時間 × 150円)がそのまま請求されます。開発・検証用は、使い終わりに停止する運用にするか、スケジュール停止や自動停止を設定しておきます。
- Serverlessのベース容量が過大:ベース容量(RPU)を大きく設定しすぎると、軽い処理でもRPU数に比例して課金され、無駄が出ます。実際の負荷を見ながら、まず小さめのベース容量から始め、遅ければ上げます。
- Spectrumのスキャン量:S3を直接クエリするSpectrumは、読んだ量に比例して課金されます。
SELECT *や範囲を絞らないクエリはスキャン量が膨らむため、必要な列と期間だけを読む書き方にします。 - リザーブド化の判断:常時稼働が決まっているのにオンデマンドのまま使い続けると割高です。利用が定常化したら、リザーブドや定額系への切り替えを検討します。
Evastの現場では:請求が膨らんだRedshift環境をまず調べると、原因はクエリの中身よりも「止め忘れたクラスタ」と「用途に対して大きすぎるノード」であることがほとんどです。夜間や休日に止められるはずのクラスタが動きっぱなしで、月額の3割前後が使われていない時間の課金だった、という例も珍しくありません。派手なチューニングの前に、まず止め方とノードサイズを見直すのが近道です。
この考え方はSnowflakeやBigQueryでも共通です。DWHのランニングコストを抑える全体像はデータ基盤のコストダウン|ランニングコスト削減の4要素で、他社の料金体系はSnowflakeの料金体系とコスト削減|クレジット課金の落とし穴やBigQueryの料金体系とコスト削減|課金トラップと対策で解説しています。
まとめ:課金モデルとノードを稼働前に決める
Amazon Redshiftの費用は、どの課金モデルを選び、いつ止めるかで数倍単位で動きます。
- Redshiftとは:AWSのフルマネージドDWH。列指向で高速、AWS各サービスと最も密に連携できる
- 料金体系:プロビジョンド(起動時間で課金)とServerless(使った分だけ課金)の2つ。ほかにSpectrumなどの従量オプション
- 相場:スモールで月数万円、中規模で月25万〜50万円、大規模で月100万円超が目安(利用料のみ)
- 選び方:読めない段階はServerless、定常運用はプロビジョンド+リザーブド
AWSにデータが集まっている企業ほど、Redshiftは移行の手間が少なく有力です。ただし「とりあえず大きく起動して、あとで考える」は費用膨張の入口になります。使い方に合うモデルとノードを稼働前に決めておくことが、総コストを左右します。
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株式会社Evastでは、DWH選定・設計から、ETL/ELT実装・BIダッシュボード開発まで、データ基盤の一気通貫支援を行っています。
- 「Redshift・Snowflake・BigQueryのどれを選ぶべきか迷っている」
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