クラウドDWH費用比較|BigQuery・Snowflake・Redshift

データ基盤
読了時間 約8分
クラウドDWHのBigQuery・Snowflake・Redshiftを費用で比較します。スキャン量課金・稼働時間課金・ノード/RPU課金という3社の料金モデルの違い、ほぼ横並びのストレージ単価、そして「どれが安いか」がワークロードで2〜3倍ぶれて逆転する理由を、スパイキー型・定常高負荷型・同時実行型のパターン別に整理。自社の使い方に合うDWHを費用で見極めたい発注検討者向けです。

「クラウドDWHを入れたいのですが、BigQueryとSnowflakeとRedshiftで、結局どれがいちばん安いんでしょう?」

データ基盤の相談で、費用を切り口にこう聞かれる場面が本当に多くなりました。予算の起案を任されている方からすると、真っ先に知りたいのはやはりここではないでしょうか。

先に正直に言うと、一律に「これが安い」という答えはありません。同じ用途でも、使い方次第で費用は2〜3倍ぶれ、順位が逆転するからです。「どれが安いか」ではなく、「自社のワークロード(使い方)に、どの課金モデルが噛み合うか」で見ないと、あとから帳尻が合わなくなります。

3社の料金モデルの違い、ストレージ単価、そして費用が逆転するパターンを、発注を判断する立場の目線で見ていきます。

なお、記載する単価はすべて2026年時点・米国リージョンのオンデマンド換算の目安で、実額はリージョン・契約・エディションで変わります。金額の単位は、BigQueryのスキャン量が2進のTiB、ストレージ系が10進のTB(GB建て)と、各社の課金の実態に合わせています。


3社の課金モデルは「何で課金するか」が違う

クラウドDWH3社の課金モデルの違い

費用比較の出発点は、3社が「何に対して課金するか」がそもそも違う、という点です。

  • BigQuery(オンデマンド):クエリが読み込んだデータ量(スキャン量)で課金。1TiBあたり約$6.25。読まなければ課金されない
  • Snowflake:ウェアハウス(計算リソース)の稼働時間で課金。サイズが1段階上がるごとにクレジット消費が倍になる
  • Redshift:ノード、またはRPU(Serverlessの計算単位)の稼働時間で課金。動いている分だけ払う

たとえるなら、BigQueryは「読んだページ数で払う図書館のコピー機」、Snowflakeは「借りた机の広さ×時間で払うレンタルオフィス」、Redshiftは「借りた台数×時間で払う貸しサーバー」です。同じ「データを分析する」でも、料金メーターの回り方がまったく違います。

BigQueryとRedshiftには、稼働時間に依存しない定額(容量)モデルもあります。BigQueryはスロットを固定で買うEditions、RedshiftはRA3ノードやReservedです。定常的に重い使い方では、こちらが有利になります。Redshift単体の料金体系や規模別の費用相場は、Amazon Redshiftとは?料金体系と費用相場を解説で個別に掘り下げています。

主要な軸で並べると、次のようになります(2026年時点・米国リージョンの目安)。

BigQuerySnowflakeRedshift
課金の基準スキャン量(約$6.25/TiB)or スロット定額稼働時間×サイズ(約$2〜4/クレジット)RPU時間(約$0.375/RPU時)or ノード時間
最低課金クエリごとに最低10MB起動ごとに60秒実行ごとに最低60秒
噛み合いやすい使い方(例)スパイキー・アドホック中心同時実行・複数チームAWS中心・定常負荷・既存Redshift資産
無料枠・試用毎月1TiB+10GB(恒常)エディション別の試用クレジットServerless $300/90日
最適化の勘所読むデータを減らす稼働時間とサイズノード/RPUの適正化・一時停止

「噛み合いやすい使い方」を◎×で断定していないのは、後述するとおり、どれが安いかが使い方で逆転するからです。あくまで傾向で、境界は曖昧です。


ストレージ単価はほぼ横並び、差がつくのは使い方

クラウドDWHのストレージ単価はほぼ横並び

「どこが安いか」を語るとき、ストレージ単価を気にする方は多いのですが、ここは3社で大きな差がつきません。

サービスストレージ単価(月/TB)補足
BigQuery約$20(90日未更新の長期は約$10)更新のないデータは自動で割引
Snowflake約$23(圧縮後)自動圧縮が効く
Redshift約$24(RA3マネージドストレージ)ノードと分離して課金

単価だけ見ればBigQueryの長期割引がやや有利ですが、実際のストレージ費用は、圧縮率や、Snowflakeの複製・Time Travel(過去の状態を保持する機能)による重複コピーの有無で変わります。単価表だけで安さを判断しないのが安全です。

費用の大部分を占めるのは、多くの場合ストレージではなく計算(クエリ実行)です。次の章で見るとおり、ここがワークロード次第で大きくぶれます。


どれが安いかは「ワークロード」で決まる

どれが安いかはワークロードで決まる

ここが本記事の核心です。3社の費用は、使い方のパターンによって有利・不利が入れ替わります。代表的な4つのパターンで見ていきます。

普段は低頻度、たまに重い(スパイキー・アドホック型)

普段はほとんど使わず、必要なときだけ重い分析を回す使い方です。この場合、BigQueryのオンデマンドが噛み合います。使わない時間の課金がゼロで、読んだデータ量にだけ払うためです。

Snowflakeもauto-suspend(自動停止)で近づけますが、起動のたびに最低60秒の課金が積み上がります。Redshift Serverlessも止まれば課金は止まりますが、最低ベース容量が効きます。

日中フルで回る(定常・高負荷型)

ダッシュボードやバッチが日中ずっと動く使い方では、定額系が有利になります。BigQueryをオンデマンドのまま高頻度で回すと、スキャン課金が積み上がって膨らみます。BigQuery EditionsやSnowflakeの容量コミット、RedshiftのReservedに切り替えると、40〜60%規模で下がることもあります。

複数チームが同時に使う(同時実行型)

部門やチームが並行してクエリを投げる使い方では、Snowflakeが構造的に有利です。ウェアハウスをチームごとに分けられ、同時実行が増えても費用を部門ごとに按分・制御しやすいためです。Redshiftもワークグループの分離で対応できます。

データ量が非常に大きい

ストレージ単価は横並びなので、ここでの差はクエリ側に出ます。BigQueryをオンデマンドで使う場合、パーティション(日付などで表を内部分割し、読む範囲を絞る仕組み)やクラスタリング(よく絞り込む列で物理的に並べておく仕組み)を設計せずに毎回フルスキャンすると、巨大データではかえって高くつきます。設計前提であれば、読む範囲を絞って安く保てます。


同じ処理でも、費用は2〜3倍ぶれる

同じ処理でも費用は2〜3倍ぶれる

「一律にどれが安いとは言えない」と繰り返しているのは、同じDWHの同じ処理ですら、設定ひとつで費用が数倍変わるからです。

  • BigQuery:同じ月次集計でも、パーティション設計の有無で読むデータ量が数倍変わり、そのままスキャン課金に跳ね返る
  • Snowflake:X-Smallで足りるジョブをMediumで回すだけでクレジット消費は4倍。ウェアハウスの止め忘れ1台で月額が跳ねる
  • Redshift:本当にスパイキーなのに常時起動のつもりで組むか、最低ベース容量が効くかで、Serverlessの費用は数倍変わる

3社間の単価差より、同じサービス内での使い方の差のほうが大きい、というのが現場の実感です。だからこそ、比較表で「どれが安い」と決め打ちするより、自社のワークロードを見極めるほうが、費用対効果に効きます。


コスト最適化の勘所は、3社で別物

コスト最適化の勘所は3社で別物

どのDWHを選んでも、コストを抑える「効きどころ」は課金モデルによって変わります。

同じ「コスト削減」でも、BigQueryで有効な手(読むデータを減らす)と、Snowflakeで有効な手(稼働時間を減らす)はまったく別です。ツールを決めたら、そのツールに合った最適化を設計段階から組み込むのが近道です。


発注検討者向け:費用で選ぶときの指針

発注検討者向け:費用で選ぶときの指針

「どれが安いか」から入ると答えが出ないので、次の順で絞ると決めやすくなります。

  1. すでに使っているクラウドは何か:GCP中心ならBigQuery、AWS中心ならRedshiftが連携で有利。マルチクラウドや特定クラウドに縛られたくないならSnowflake
  2. 使い方はスパイキーか、定常的に重いか:低頻度・アドホックならオンデマンド系、日中フル稼働なら定額系
  3. 複数チームが同時に使うか:同時実行と部門別のコスト按分が重要ならSnowflakeが噛み合いやすい

そのうえで、選んだツールの料金モデルに合った最適化(前章)を最初から設計する。これが、費用面で失敗しない進め方です。

BigQueryとSnowflakeの機能・アーキテクチャまで踏み込んだ2社比較はSnowflakeとBigQuery比較:コスト・性能・機能の違いと選び方で、DWHそのものの基礎はDWH(データウェアハウス)とは?クラウドDWHの比較と選び方で解説しています。3社とは課金の考え方が異なる、AI開発まで含めて1つの基盤で扱うレイクハウス型のDatabricksの料金はDatabricksとは?レイクハウスの仕組みと料金を解説で整理しています。


まとめ:クラウドDWHは「ワークロードに合う課金モデル」で選ぶ

まとめ:クラウドDWHはワークロードに合う課金モデルで選ぶ

クラウドDWHの費用比較の要点を整理します。

  1. 課金の基準が3社で違う:BigQuery=スキャン量、Snowflake=稼働時間×サイズ、Redshift=ノード/RPU時間
  2. ストレージ単価はほぼ横並び(月$20〜24/TB)。費用の主役は計算(クエリ)側
  3. どれが安いかはワークロード次第:スパイキーはBigQuery、同時実行はSnowflake、AWS中心・定常負荷はRedshiftが噛み合いやすい
  4. 同じ処理でも2〜3倍ぶれる:3社間の差より、使い方の差のほうが大きい

「いちばん安いDWH」を探すより、自社の使い方に合う課金モデルを選び、そのツールに合った最適化を設計する。これが結局いちばん費用対効果の高い進め方です。構築費まで含めた費用の全体像はデータ基盤構築の費用相場は?見積もりの内訳と判断基準を解説で、運用開始後のランニングコストの下げ方はデータ基盤のランニングコスト削減|4要素別の見直し方でまとめています。


クラウドDWH選定・コスト設計のご相談はEvastへ

株式会社Evastでは、BigQuery・Snowflake・Redshiftの選定から、費用を抑えるデータ基盤の設計・構築までを支援しています。ワークロードの見極めから課金モデルの選択、最適化の設計まで、発注前の段階から伴走します。

  • 「どのクラウドDWHが自社の使い方に合うか、費用面で判断したい」
  • 「今のDWHの費用が高く、乗り換えるべきか相談したい」
  • 「これからDWHを選ぶので、コストが膨らまない構成にしたい」

現状のデータ環境の診断から、選定・設計・構築までご相談ください。

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よくある質問

クラウドDWHで結局いちばん安いのはどれですか?
一律の答えはありません。同じ用途でも使い方で費用が2〜3倍ぶれ、順位が逆転するためです。傾向としては、普段は低頻度でたまに重い分析を回すスパイキーな使い方ならBigQueryのオンデマンドが有利、複数チームが同時に使うならウェアハウスを分けられるSnowflakeが有利、すでにAWSを使っていて定常的に負荷が高いならRedshiftが噛み合いやすい、という程度の目安になります。
BigQuery・Snowflake・Redshiftの課金の違いは何ですか?
課金の基準が3社で異なります。BigQueryのオンデマンドはクエリが読み込んだデータ量(スキャン量)で、Snowflakeはウェアハウスの稼働時間(サイズ×時間)で、RedshiftはノードまたはRPUの稼働時間で課金されます。BigQueryとRedshiftには稼働時間に依存しない定額(容量)モデルもあります。
クラウドDWHは無料で試せますか?
いずれも無料で試す手段があります。BigQueryは毎月1TiBのクエリと10GBのストレージが恒常的に無料枠として使えます。Redshift Serverlessは新規向けに90日間・$300分のクレジットが提供され、Snowflakeもエディションに応じた試用クレジットで評価できます(2026年時点の目安)。
Redshiftはどんなときに割高になりますか?
使い方次第です。ProvisionedのRA3ノードを24時間起動しっぱなしにしたり、Serverlessの最低ベース容量が常に効いたりすると割高になりますが、ワークロードに合わせてノードサイズやベース容量を適正化し、使わない時間を止めれば抑えられます。AWSを中心に使う企業や既存のRedshift資産がある場合は、連携のしやすさで総コストが下がることもあります。
オンデマンドと定額(容量)モデルはどちらが得ですか?
使用量で分かれます。データ量や実行頻度が読めない試験導入や、低頻度の分析ではオンデマンドが無駄がありません。一方、日中フルでダッシュボードやバッチを回すような定常的で高頻度の使い方では、BigQuery EditionsやSnowflakeの容量コミット、RedshiftのReserved化といった定額系に切り替えると、大きく下がることもあります。
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